第41回ヨコハマ映画祭
お待たせしました! ハマの冬の風物詩、ヨコハマ映画祭の季節がやってきました。前回、第40回記念開催の熱狂と興奮も記憶に新しい“映画ファンの祭典”も、41回目の開催となります。
今回も関内ホールにおいて多くの受賞者・ゲストをお招きし、熱気あふれる映画祭を作りだしますので、是非お楽しみください。
2019年に最高の輝きを見せた映画人を称える個人賞表彰式をメインに、オープニングを飾る映画上映はベストテン第10位、撮影賞・主演女優賞W・助演男優賞の4冠に輝く「さよならくちびる」。表彰式をはさんで2本目の上映は、ベストテン第2位で監督賞・最優秀新人賞に輝く秀作「蜜蜂と遠雷」。そして、クロージングには、ベストテン第1位=作品賞、最優秀新人賞・特別大賞と3冠に輝く「火口のふたり」。豪華3作品を上映します。
さあ、2月2日は映画ファンのための“映画の日”。映画ファンは全員、関内ホールに集まれ!
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▲さよならくちびる ▲蜜蜂と遠雷 ▲火口のふたり |
「さよならくちびる」(116分) | ||
人気フォークデュオ「ハルレオ」(門脇麦/小松菜奈)と帯同ローディ「シマ」(成田凌)の、解散にいたるまでのツアーライブを時間経過に即してロードムービーの体裁で描く。端正な顔立ちをした映画だ。誰かが誰かを好きでいることのもどかしいまでの葛藤、関係性の綾が流れる音楽と差し挟まれる過去のエピソードから濃密に現れてくる。ハルは常にレオのためになることを思いやり、レオはシマにすべてを捧げたいほど恋ぐるい、シマはハルの人間性・音楽性にリスペクト以上の思いを抱く。それら感情の嵐を完璧にコントロールしつつ、流れでる音楽の情感を観客の前に解き放つ塩田明彦の映画術に酔いしれたい。ツアーのはじまり浜松から四日市、大阪、新潟、酒田、弘前、そして最終地・函館のナイトシーンがきらめき、ライブ会場の内外を縦横に描き切るキャメラの妙も魅力のひとつ。作品世界を完璧に咀嚼した秦基博、あいみょんの楽曲がまた素晴らしい。必見! |
(撮影賞、主演女優賞W受賞、助演男優賞) |
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「蜜蜂と遠雷」(119分) | |
国際ピアノコンクールを舞台に自己の音楽的達成に賭けた4人の若き天才たちを描く。そして、映画がピアノ演奏のリアリティを表現する至難と音楽家個々の内面を掘り下げる至難とを同時に超克するという離れ業を成し遂げた稀有な日本映画である。かつて天才ピアニストを謳われながら10年のブランクを余儀なくされた主人公を松岡茉優が繊細に演じ、“生活者の音楽”を標榜する努力の人を松坂桃李が演ずる。片や、コンクール優勝の最有力と目される超絶技巧派に森崎ウィン。天然のナイーブさを発散する謎めいた少年、養蜂家の父と世界各地を放浪してきた今コンクールの“ギフト”に新星・鈴鹿央士が大抜擢された。数週間にわたるコンクールのプレッシャーをドキュメントするかの技法で場面転換の字幕挿入や、ピアノ協奏曲の独奏部分とオーケストレーション撮影に独自の視点を取り入れた石川慶演出はまさにマジックだ。「世界が鳴ってる」「そこかしこに音楽は満ち溢れている」。そう、世界そのもののドラマが映画「蜜蜂と遠雷」にはある。 |
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「火口のふたり」(115分) | |
数年前まで恋人関係だったケンちゃん(柄本佑)と直子(瀧内公美)。従妹の直子が結婚するというので帰省した秋田の町で、ケンちゃんと直子は、恋人時代の黒白写真アルバムに導かれるように、互いを求めあう。ふたりの「身体の言い分」だけに身を任せ、ふたり以外この世に存在しないかのように昼夜なく交わる。まだ東日本大震災の余燼が世の人々のこころにくすぶっているというのに、である…。性愛については、常に誰よりも骨太で濃密な世界を描いてきた脚本家・荒井晴彦にもたらされた白石一文の原作が、この世ではないたったふたりだけの性本能の世界に、クッキリしたリアリティを結ぶ。ふたりのセックスする部屋に大きく貼られた富士山火口の航空写真が、ふたりの悦楽と苦悶を見つめている。そこに突然、臨時災害ニュースと、蜷川みほの絵「富士山大噴火」が闖入してくる。そのインサートがもたらす驚きと人々の心の向かう先、ニッポンが立ち現れた瞬間の得も言われぬ感動に身を任せるしか、もはやないのだ。 |
(作品賞、最優秀新人賞、特別大賞) |
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